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信頼残高を自ら積極的に積んでいく仕事術

慶応4年1月3日(西暦1868年1月27日)に京都の鳥羽・伏見にて旧幕府軍と新政府軍の

戦闘が始まりました。そしてこの日は戊辰戦争の始まりにもなります。

新政府軍の3倍の兵数を擁した旧幕府軍が敗退した原因は新政府軍との兵器の差と新た

に出現した錦の御旗だと言われています。



錦の御旗を掲げられてしまった慶喜は、賊軍として戦い続けることを恐れ、わずかな

側近を連れて江戸に帰ってしまいます。(旧幕府軍の兵士はそのまま置き去り)

その後は、ひたすら恭順謹慎の姿勢を維持します。



慶喜は頭脳明晰で論理的思考力の持ち主であったと言われています。しかし、あまりに

先の展開が読めすぎるため、その言動や方針は激変する状況に応じてコロコロと変わり、

周囲からは「二心殿」などと陰口を言われていました。



二心殿などと言われているのですから幕臣からの信頼度も高いとは言えなかったでしょう。

勝海舟なんかも何度もはしごを外され、煮え湯を飲まされました。



仕事をする上では、周囲との信頼関係構築が必要となります。社内であれば、信頼できるか

らこそ仕事を指示したり、任せたりすることができます。社外であれば、仕事を発注したり、

リピーターになってくれたりします。



逆に信頼がない相手には仕事を任せることも少なくなっていきます。周囲との信頼関係が築け

ない人は、自ずと任せてもらえる仕事が少なくなるため、仕事を通して自分の能力を評価して

もらう機会も減っていきます。評価される機会が減っていくので、評価は高まりませんし、

さらに低くなっていく場合もあります。そのため、ますます、任せられる仕事も減っていくと

いう負のサイクルに陥っていきます。



自分と周囲の人との間の信頼関係の高低は「信頼残高」という言葉で表現されます。信頼残高

を積み上げていくためには、相手との約束を守ることが基本です。約束とは、提出物や仕事の

納期、出社時間、面談時間、訪問時間、会議の時間といったことです。さらに、提供する製品

やサービスの品質なども相手との約束の中に含まれます。



逆に約束を破ることは、積み上げてきた信頼残高を減らすことになります。信頼残高は日々の

やり取りの中で小さな約束を守り続けることでコツコツと積み上げていく必要があります。し

かし、崩れるときは一瞬です。



信頼残高を減らしたくないがために、納期を曖昧にしておいたりする人がたまにいます。曖昧

しておくことで約束を破る機会を減らす(リスクを減らす)と考えることもできますが、むし

ろ、それは信頼残高を積み上げる機会を自ら放棄していると考えるべきでしょう。自ら信頼残

高を積み上げようとしない人と信頼関係を構築することができるでしょうか。



積極的に自ら信頼残高を積み上げる機会をつくる姿勢はその積み上げスピードを増幅させます。

相手との約束をこちらから設定していく姿勢です。いつまでに提出します、いつ回答します、

ここまでのものをいつまでに仕上げます、と自ら提示する姿勢です。



それは、仕事のQCDを明確にすることにもつながります。Qとは、Quality(品質)のことでその

仕事のアウトプット品質、ゴールを意味します。Cとは、Cost(コスト)のことでどれくらいの

費用(お金、時間)をかけるのかを意味します。Dとは、Delivery(納期)のことでいつまでに

完成させるのかを意味します。



つまり、相手との信頼関係を積み上げるということは、QCDに関する約束をしてその通りに遂行し、

その結果を蓄積していくことであるということです。



そして、それを実践していくためには、タイムマネジメントスキルが必要となってきます。