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企業は環境適応業、中期経営改革の重要性

中小企業こそ中期経営計画の策定を

天保8年6月28日(1837年7月20日)、浦賀沖に現れたアメリカ商船のモリソン号が幕府

の異国船打払令により砲撃を受けて引き返すという事件が起きました。

 


モリソン号が日本に向かった目的は、救助した日本人漂流民を返還することとそれを

とっかかりにして日本との通商を始められるようにすることでした。

 


1800年代から外国船が日本近海に出現することが多くなり、鎖国体制化の幕府が日本人と

外国人の接触を回避するために文政8年(1825年)に発令したのが異国船打払令です。

幕府が通商を認めているオランダと清以外の外国船はすべて砲撃して排除しろという命令

です。

 


嘉永6年(1853年)の黒船来航により日本中が大騒ぎになったと言われていますが、すでに

半世紀も前から諸外国が日本との通商を要求しており、このままだと鎖国体制を維持するこ

とは難しくなっていくかもしれないということを想像することもできたはずです。

 


黒船来航までほとんど無為無策で過ごしてきたのは、まさしく問題の先送りであり、その場し

のぎの対応と言えます。

 


企業は環境適応業と言われています。常に変化する環境を意識し、その環境変化を予測し、そ

れに適応していくための方策を検討し、実行していかなければなりません。それができない企

業はそれができる企業に負けて、市場から退かなければならなくなります。

 


環境変化を予測することは簡単なことではありませんし、必ずしもその予測が当たるとも言えません。しかし、だからといってその変化を無視することもできません。予測は当たらないかもしれないが、このような問題が起きている、起きつつある、このままだと将来こういうことになるかもしれない、ということをまずは声に出して組織内で共有することが大切だと思います。

 

 

中小企業は、個々の社員のマンパワーをより重要なことに集中させていく組織力の発揮が不可欠です。社員のベクトルを合わせるための手段が中期経営計画となります。したがって、その計画は上層部がつくり、一般社員に発表するだけではなく、それをいかに下位に浸透させていくかが重要となります。中期経営計画策定のプロセスにできるだけ社員がからみ、完成版の中期経営計画をどのように推進していくか、どんな管理が必要となるかをさらに下位の組織単位で検討し、発表し合うような場が必要となるかと思います。

 

そのようなことを最低1年に1度、できれば半期に1度は設ける必要があるのではないでしょうか。