建仁3年10月3日(1203年11月8日)、運慶と快慶が中心となって作った東大寺南大門
の金剛力士像が完成しました。制作期間は70日間だといわれています。
金剛力士像は多くの場合、阿形像と吽形像の2体で1対となり、その寺を守っています。
「阿」は吐く息であり、「吽」は吸う息を意味しています。また、サンスクリット語で
は、「阿」は最初の言葉、「吽」は最後の言葉ということで「阿吽」とは、最初から
最後という意味であり、切っても切り離せないものという意味になります。
「あうんの呼吸」とは、ここから派生した言葉です。「二人はあうんの呼吸で仕事を
している。」、「あうんの呼吸のパス回し」などと使われます。考えや、行動がぴた
りと合っている、というのがその意味です。
「あうんの呼吸」で仕事をする、というと互いに何も言葉を交わさずとも分かり合い
ながら仕事を着々と進めていくようなイメージを持つのではないでしょうか。
しかし、実際には複数人で仕事を進めていく場合は、様々なことを確認、共有しなが
ら進めていく必要があります。以心伝心で互いに分かり合える、ということはなかな
か難しいものではないでしょうか。これまでの経験値が違えば、考え方、やり方も違
ってくるはずです。問題の捉え方、対処の仕方も違ってきます。その違いが一つひと
つの動きにムダやムリを生じさせ、全体の生産性を低下させます。
それを防ぐためには、思考の軸を共有することが重要となります。思考の軸とは、何
かあった場合に立ち戻り、確認するための視点のようなものです。
たとえば、「ゴール」という視点です。仕事を複数人で進めていくにあたっては、そ
の関係者間で最終的に目指す状態「ゴール」を共有し続けなければなりません。そう
でないと、個々の目指すものがぶれてしまいます。個々の目指すものがぶれると、バ
ラバラな動きとなり、ムダが生じます。結果、やり直しが発生します。
「ゴール」という視点を互いに常に意識していれば、何かあれば、「このゴールは●
●でいいんだよね。」、「最終ゴールが●●であれば、ここはこうした方が良いので
はないか。」といったやり取りがそれこそ「あうんの呼吸」で互いにできていくと
思います。
そのような思考の軸が共有できていないと、互いの確認し合うポイントもずれるため、
「あうんの呼吸」で仕事を進めていくことはできなくなります。
プロジェクトや、組織で仕事を進めていくためには、「あうんの呼吸」でやり取りが
できるように日ごろから、思考の軸、言葉の共通化を意識的に作り上げていくことが
重要となります。
そのような思考の軸、共通の言葉を持った者同士で長い年月をかけて作り上げられる
ものが組織風土や組織体質、組織の仕事スタイルと呼ばれるものなのだと思います。
コメントをお書きください